攻殻機動隊。私の中では日本アニメの中ではコードギアスに次ぐ第2位の名作ですね。 ちなみに3位がエヴァンゲリオンですね。この3作品は日本アニメの3巨頭といっていいと思います。 今回はそんな、3巨頭の一角である攻殻機動隊について紹介します。 攻殻機動隊は、士郎正宗先生の漫画原作があり、この世界観の数々の作品が造られています。 その中でも、攻殻機動隊の名前を世界に知らしめたのが、この作品、押井守監督の「GHOST IN THE SHELL」ですね。 素子が、攻殻機動隊お馴染みの光学迷彩を着て、高層ビルから飛び降りていくシーンは、攻殻機動隊の 代名詞となっていますし、この独特の古代日本を感じさせる曲使いも素晴らしく、さらに 明らかにMatrixが完全に影響を受けているであろう、緑の数字が無数に並んでいるオープニングなど、 個人的には、この後で書く、Stand Alone Complexシリーズの方が好きではあるものの、 攻殻機動隊をイメージする時は、このGHOST IN THE SHELLで使われたシーンや曲を多く想像してしまいます。
GHOST IN THE SHELLは2時間程度の作品ですが、まさに傑作の名にふさわしい素晴らしい作品です。 まさに、攻殻機動隊の原点のような作品です。脳以外は全て機械(全身義体)の主人公、草薙素子が、 人形つかいと呼ばれる、超ウィザード級ハッカーと対決するストーリーです。この映画作品をみて私は、 攻殻機動隊にハマりました。
そして、その頃はまだ、アマゾンもネットフリックスも無かったので、TUTAYAに攻殻機動隊のアニメがある事知り、 借りて見たのが、攻殻機動隊のStand Alone Complexシリーズです。 攻殻機動隊は多くの作品があります、例えばGHOST IN THE SHELLの続編にイノセンスがあったり、 公安9課の誕生に至るストーリを書いたArise等、どれも最高に面白いですが、私の中で攻殻機動隊と言えば、 なんといっても、このStanad Alone Complex(SAC)シリーズです。攻殻機動隊にまだ触れた事が無くて、 どれから見れば分からないなら、間違いなくこのSACを私は勧めます。しかし、ネットで調べてみると、SACは 攻殻機動隊の原作とはストーリーは全く異なります。本流は人形つかいが出てくる方と思われるので、もちろん原作 から見ていくのもいいかもしれませんが。
そのSACシリーズの始まりが、この笑い男事件です。スーパー面白いです。攻殻機動隊の世界は今より少し テクノロジーが進んだ世界。多くの人間が電脳化しており、ネットに簡単につながれる世界です。 しかし、人間はまだ、孤人が複合体としての個となるまでは電子化されていない世界とのことです。 この電脳というのは、簡単にいうと人間の脳の一部をコンピューターとしている感じです。 なので、電脳化している人の視野はコンピューターの画面の様に、メールが見れたり、 ダウンロードした地図の画面が見れたりします。また電話も頭の中に入っている様な物なので、 頭の中で、すぐに必要な人に電話して会話する事ができるような便利な機能満載です。
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電脳化していると、とても便利なので、この世界では多くの人間が電脳化しています。 しかし、電脳化していると、大きな問題になるのが、ハッキングの問題です。 電脳をハッキングされると、記憶情報が盗まれてしまったり、視野情報を盗撮されたり、また 見ている情報自体を書き換えられてしまったり、完全に電脳を乗っ取られると、完全にハッカーの 支配下となり操られてしまいます。電脳化の代償として、このような高度なサイバー犯罪が、 攻殻機動隊の世界では蔓延しているのです。
この電脳化した社会で、激しく構造の変化した犯罪に対応するために造られたのが、 公安9課です。メンバーは義体化率が高い、電脳戦に優れた元軍人で構成されています。 そこのトップが荒巻課長であり、実行部隊のトップが主人公の草薙素子です。 もと軍人なので「少佐」と呼ばれています。
その他のメンバーとしては、もとレンジャー部隊の全身義体のサイボーグのバトー。基本的には攻殻機動隊では、 素子がチート的な強さであり、全てにおいてトップの能力を発揮します。そんなチート少佐以外は得意分野で、 キャラが分けられており、このバトーは近接戦闘や盾役ですね。そして実行部隊のナンバー2的存在であり、 おそらく素子には特別な感情を抱いていますね。
そして、9課の中では最も義体化率の低いトグサ。笑い男事件では警視庁から引き抜かれた、新人的な ポジションです。しかし、この新人が他のメンバーと異なり軍属でないので、独自の目線で事件解決に 結構役に立ちます。9課実働部隊ではナンバー3位の主要なキャラですね。実際の序列は新人なので下の方です。
その他、バトーよりも少佐との付き合いが長い、電脳戦や、ネットから情報収集等に特化したイシカワ、 狙撃のサイトー、電脳戦と爆弾に詳しい、ボマー、内偵調査やいざとなったらナイフで戦闘するパズなどがいます。
そして、最後が少佐こと、草薙素子です。全身義体の女性型サイボーグ、戦闘の天才であり、ハッカーの腕は、 超ウィザード級。まさに9課のリーダーです。少佐は幼いころに事故により全身を義体化しており、幼少時から 義体であったため、義体の扱いも超一流といった設定です。全身がサイボーグであり、自分を定義する生体パーツは、 自分では確認する事の出来ない脳のみであるため、自分は本当はアンドロイドなのでは?とたまに考えてしまう、 悲しい一面もありますが、基本的には自分のオリジナルであるはずの脳にやどるGHOSTを信じて行動してます。 超人的な電子戦や義体の能力のみでなく、普段は精神的にもとても強いですが、自分の体が人工物であるためか、 体の破損に対しては全く躊躇ない行動を取るので、人間と機械の間にいるような印象を受けるキャラクターであり、 突然精神的なもろさを見せる時もあります。いつでも乗り換えられる体を非常に長く使っているため、 ある点にあいては精神の発達が十分でない部分があるのかもしれません。いわゆる物質世界に対する執着も薄く、 ネットの世界と現実世界との隔たりも素子の中では薄く、自分のゴーストごとネットの世界にアップロードして、 現実世界から突然にいなくなってしまいそうな一面もあります。
登場”人物”の紹介は終わりましたが、とても重要なキャラクターがまだいます。 タチコマです。多脚戦車であり、中にはAIを積んでいます。このタチコマはSCAシリーズの準主役と いって差支えないでしょう。笑い男事件から登場し、笑い男事件の終盤でも、SACの第2シーズンに当たる、 個別の11人でも大活躍します。この個別の11人でのタチコマのシーンは個人的には攻殻機動隊で、 1番好きなシーンです。
少佐が、人間でありながら、機械との間で揺れているキャラならば、タチコマは機械でありながら、 人間との間で揺れているキャラです。初めはAI然としたキャラですが、話が進んでいくにつれて、 人間性を獲得していきます、特にタチコマをかわいがるバトーに対しては、特別に愛情を持っています。 そして、タチコマは個体間で体験を共有できる並列化処理がなされているはずですが、 使用者側の思惑とは異なり、順調に個体差を獲得していき、個性を得るに至ります。
さらに、個性を獲得した後に、神の存在や、死といったいどんな物なのかとか、哲学的な思想、さらにAIであり命令には疑問は持たないはずですが、 命令に疑問をもち、規約違反等もする(悪気のある悪質な物でない)ようになり、自身の中にGHOSTが存在するのでは? と考える位まで成長した所で、AIの成長が手に負えなくなり、笑い男事件では1度研究所送りになってしまいます。 しかし、公安9課の危機を知ったタチコマは自身の判断に基づき、つまりStand Aloneとして行動できるようになり、 最愛のバトーを自身の損壊を顧みず助け出します。
ここでの行動が評価され、バトー救出の際の損壊から復旧されたタチコマは、個別の11人事件で、 新人として公安9課に配属されてきます。そこでさらなるAIの進化を遂げて、劇中ではその存在の確定は されていないものの、間違いなく本物のGHOSTを宿したタチコマは、その自分のGHOSTの存在の消失をも 覚悟した上で、SACシリーズ最大の名シーンである、核爆弾への特攻に至ります。 攻殻機動隊の中でもっとも好きなキャラクターです。
キャラクターや、電脳化した世界という、SFサイバーパンクな世界観も魅力ですが、ストーリー自体も秀逸なのが、 攻殻機動隊です。笑い男事件では、自身ではそう名乗ったことはないものの、世間からは笑い男と呼ばれている、 素子をも超える超絶ハッカーを追うというのが、話の内容ですが、単純な善と悪に別れたシンプルなものでは、 ありません。
笑い男自体は純粋な悪な存在ではありません。笑い男の目的は日本の政界のトップと、 マイクロマシン業界の間の癒着により、なされるべき治療がなされず、電脳硬化症という、電脳化した人間に見られる、 不治の病のために亡くなったり、今でも苦しんでいる人たちの救済が目的です。この癒着自体が世間の明るみには出てないので、 この笑い男の存在がなければ、公安9課ですら、その存在には気が付くことはありません。
この笑い男事件は、政界、薬品メーカー、医師会、大企業間のそれぞれの思惑が複雑に交錯する中を、公安9課が、 笑い男の真の目的にたどり着くまでの物語となっており、戦闘、電脳戦、諜報戦、政治、資本といった、現在の 問題と近未来の問題が融合した造りとなっており、私が今までみてきたアニメとは一線を画すものでありました。
そして、笑い男事件が終わったのち、個別の11人が2ndシーズンとして始まります。この話は 難民問題と、人類をネットの中に自然に形成されつつある、上部構造にGHOSTごと補完して、人類を より高度な存在に進化させる事を目的として真の革命をめざす、クゼとの駆け引きがメインとして語られます。
また、この難民問題のさなか、ストーリーとしっかり関わった形で、草薙素子誕生にまつわる 話も展開されており、非常に面白いです。そして、この話が名曲「i do」と、タチコマの歌う「手のひらに太陽に」に 彩られながら、感動のフィナーレを迎えます。SACでは、この個別の11人の後にも Solid State Societyという映画が 続編として準備されているので、ここまでを見て、SACとしては物語が完結します。
そう、完結したと思ってました。。。がnetflixがやってくれました。 攻殻機動隊のしかも、一番好きなSACの続編登場です。ここではポストヒューマンと呼ばれる、 これまた、笑い男をも超える、もはや人間の領域をも超えてしまった電脳戦闘スキルを持った人達が相手になります。 今の所、12話までが公開されています、まだ全然話の途中ではありますが、SACの続編だけあって面白いです。 一部3Dでの描写に批判的な意見もあるようですが、見ていればすぐに慣れて来ますので、全く気にせず観れますので、 是非見ることをお勧めします。